外壁塗装に関して、やはり現在の外壁の塗装方法が重要になってきます。
勿論、外壁を作っているそのものの部分、例えば、窯業系サイディングとか、金属サイディング、それに昔から最も建てられている総数の多いモルタル外壁、それにALCと言われる物まで、色々とあります。
その外壁材の上に塗装を行っている状態になります。
今回は、外壁塗装の仕様としても、非常に多く建てられていますし、歴史的にも古くからあるリシン壁に関して、少し書かせてもらいます。
リシンとは?
リシンとは、モルタル外壁を作る時の仕上げ材です。
モルタル外壁は、ラス金網という針金でできた網に、水・砂・セメントを混ぜて作ったペースト状のモルタル材をコテでぬって壁の形にします。
最後に、セメントとアクリルなどの樹脂に細かく砕いた石を配合して顔料と混ぜ、表面に塗った壁のことをリシン仕上げ、またはリシン外壁などと呼びます。
リシン仕上げの外壁は、小さな砂粒をまぶしたようなザラザラとした表面が特徴で、防水性のないモルタルを水から守っています。
リシンの施工方法
リシンの施工方法には「吹き付け」「かき落とし」などがあります。
・吹き付け工法
エアスプレーガンを使用して外壁に吹き付ける工法で、最も一般的な工法です。
短時間で塗装が済むので低価格で施工できますが、塗膜が比較的薄くなってしまいます。
・かき落とし工法
ローラーやコテで塗りつけた後に、左官職人が剣山やブラシなどを使用して、表面をかき落として仕上げる工法です。
かき落とす分を考えて厚めに塗りつけるので、塗膜が薄くなってしまうということはありません。
リシンのメリットとデメリット
【リシンのメリット】
・ほかの塗装や外壁仕上げ材より比較的費用が安価
・透湿性や通気性が高いため、壁に含まれる湿気を排出でき、木材の劣化を抑えることができる
・艶が抑えられ、仕上がりが落ち着いた雰囲気になる
【リシンのデメリット】
・一般的に凹凸が多いため、ホコリや水アカが隙間に溜まりやすく汚れやすい
・下地のモルタルの収縮に従えないので、ひび割れが発生しやすい。吹き付け工法の場合、塗膜が薄いため、さらにひび割れが発生しやすい。
・防水性が低い
・耐久性が高くなく、耐用年数は約7年~8年ほど。
リシンは比較的安価で施工しやすく、通気性に優れ、美観も良いなどのメリットがある反面、防水性が低く汚れやすい、ひび割れしやすい、耐用年数が短めといったデメリットがあります。
しかし最近では、「弾性リシン」という弾力性があってひび割れしにくく、防カビ・防藻性にも優れたものが開発されています。
リシン外壁の塗り替え時期
リシンの耐久性は約7年~8年ほどといわれているので、長くても10年以内には塗り替えが必要です。
ひび割れやチョーキング(剥離)などの劣化症状を発見したら、塗り替えを検討しましょう。
【リシンの劣化症状】
リシンの劣化症状として現れやすいのが、ひび割れです。
ひび割れの主な原因は、下地のモルタルの収縮に従えないためです。
また、吹き付け工法の場合、塗膜が薄いためひび割れが起きやすくなります。
ひび割れ(クラック)にも劣化の段階があります。
1.ヘアークラック=経過観察レベルのひび割れ
髪の毛と同じほどの細さのひび割れで、一番小さいひび割れです。
塗膜上のもので、モルタルには影響していなので、急いで補修する必要はないでしょう。
2.乾燥クラック=対処が必要になってくるひび割れ
ヘアークラックよりも、もう少し大きなひび割れで、モルタルと塗膜にひび割れが起きている状態です。
乾燥クラックが横に入ってしまっていると雨水が浸入しやすいため、対処が必要です。
3.構造クラック=早急な対処が必要なひび割れ
幅0.3mm以上・深さ0.5mm以上で、モルタルと塗膜にひび割れが起きている状態の一番大きなひび割れです。
ここまで大きくなってしまうと、早急な対処が必要です。
このようなひび割れのほか、リシン外壁は凹凸が多いため汚れやすく、カビなどが発生しやすくなります。
外壁が汚れていると、見た目が悪くなるほか、耐久性の低下にもつながってくるため、ひび割れや汚れ、カビなどが気になりだしたら、外壁の塗り替えの検討をおすすめします。
リシン外壁の塗装費用の目安
リシン外壁の塗装費用の目安は、一般的な住宅で60万円~100万円ほどです。
塗り替え費用は、塗り面積・足場の設置・付帯部塗装・使用する塗料の種類などの合計で算出されます。
リシン外壁は塗装方法によって値段も変わってきますが、一般的なローラー仕上げの相場価格は、約4,000
円/㎡となっています。
リシン外壁におすすめの塗料
リシン外壁は性質的にひび割れが発生しやすいため、弾性塗料や微弾性フィラーなどを使うと効果的です。
・下塗り材
一般的にはシーラーが使われますが、ひび割れや凹凸面が目立つ場合は、塗装面を平滑にするフィラーを使うのがおすすめです。
また、シーラーとフィラー両方の良さを兼ね備えた「サフェーサー」という塗料もあり、状況に応じて使い分けることができます。
下塗り材の選定は、リシン外壁に塗料を均一に塗るためにはとても重要です。
・ツヤ(艶)
リシン外壁の塗料には「ツヤ消しタイプ」と「多少ツヤのあるタイプ」があります。
落ち着いた印象の外壁に仕上げたい場合は、ツヤ消しタイプがおすすめです。
・本塗り塗料
リシン外壁はひび割れが起きやすいですが、できるだけひび割れを抑えたいのであれば、弾性塗料がおすすめです。
弾性塗料は伸びる性質の塗料なので、ひび割れに追従して伸びるため、表面のひび割れが起きにくくなります。
また、大通りに面してや、川沿いに建っているなど、汚れやすい環境に建っている家には低汚染塗料をおすすめします。
低汚染塗料には、汚れが雨で流れるセルフクリーニング機能を持つものや、カビや藻に対する耐性を持つものなどがあるので、環境条件にあった効果をもつ塗料を選びましょう。