「瓦屋根は塗装の必要がない」ということを聞いたことがあるかもしれません。
しかし、瓦でも塗装が必要な瓦があるのです。
ここでは、瓦の種類や特徴、塗装方法などについて記載します。
瓦の種類と特徴
瓦には次の2種類があります。
1.和瓦(粘土瓦)
2.洋風瓦(セメント瓦・モニエル瓦)
このうち、粘土瓦は塗装が不要ですが、セメント瓦は塗装が必要です。
それぞれの特徴について、ご紹介します。
和瓦(粘土瓦)
自然界に存在する粘土を瓦の形にかたどって、高温で焼き上げたものが粘土瓦です。
釉薬をかえて焼いた「釉薬瓦」、焼いた後に燻した「いぶし瓦」、そのまま焼いた「素焼き瓦」などがあります。
粘土瓦の見た目の特徴としては「角が丸みを帯びている」「釉薬瓦は表面がつるつるしている」などがあげられます。
ほかの屋根材よりも重いため、台風などの強風には強いものの、耐震性は低めです。
耐火性や防水性に優れており、表層塗膜で瓦を保護する必要がないので塗装は不要です。
洋風瓦(セメント瓦・モニエル瓦)
セメントを主成分とし、砂、水を混ぜ合わせてセメントの化学反応で硬化させたものがセメント瓦です。
瓦の表面には色、艶がなく、防水性もないため塗装が必要です。
セメント瓦はデザイン性が高く耐火性に優れていますが、衝撃に弱いため定期的にメンテナンスが必要です。
また、ヨーロッパ発祥のセメント瓦であるモニエル瓦は、表面に着色したセメントのペーストが薄く吹き付けられています。これを「スラリー層」といい、その上から吸水防止のためクリヤー塗料が塗られています。
この上から塗装をすると、劣化したスラリー層から塗膜の剥がれが起きるなどトラブルの発生が多かったため、今はもう製造されていません。
モニエル瓦を塗装する際には、表面の劣化したスラリー層をしっかり取り除く必要があります。
モニエル瓦は、デザイン性が高く、断熱性、防水性(表面塗膜による)、耐震性に優れていますが、コケやカビが発生しやすいです。
また構造上、塗装には高度な技術が必要となります。
2種類の瓦の塗装方法
2種類の瓦の特徴はわかりましたか。
ここでは、それぞれの瓦の塗装方法について記載します。
1.和瓦(粘土瓦)
表面の保護という観点での塗装は不要です。色変えなどの目的で塗装することはできますが、塗膜がはがれやすいため塗装の際には専用の塗料を使用します。
2.洋風瓦(セメント瓦・モニエル瓦)
セメント瓦とモニエル瓦では塗装方法が違います。
【セメント瓦の塗装方法】
1.高圧洗浄(洗浄→乾燥)
セメント瓦の塗装はスレート屋根の塗装と同様です。
まず塗る部分を高圧洗浄できれいにします。
汚れが落ちにくい場合は繰り返し高圧洗浄を行います。
その後、しっかりと乾燥させます。
表面が傷んで水を吸いやすくなっている場合は、特にしっかりと乾燥させます。
2.下塗り
乾燥後、下地の状態によって下塗り剤を決めます。
下地がざらざらしている状態ならフィラー、ざらざらではなければシーラーで下塗りを行います。
フィラーで下塗り後、まだざらざらしている状態であれば、下塗りを重ねて行います。
3.中塗り・上塗り
下塗りがしっかり乾燥したら、中塗りと上塗りを行い仕上げます。
【モニエル瓦の塗装方法】
1.高圧洗浄(スラリー層除去もしくは強化→乾燥)
モニエル瓦には、表面にスラリー層という、着色したセメントのペーストが薄く吹き付けられています。
このスラリー層はもろく、この上から塗装すると簡単に剥がれてしまいます。
そのため、塗装する前にスラリー層を除去するか強化して剥がれないようにする必要があります。
スラリー層除去の場合、高圧洗浄をしっかり行うことでスラリー層を取り除くことができます。
スラリー層強化の場合、スラリー強化プライマーを使用します。
スラリー強化プライマーは、モニエル瓦の塗膜25年保証という異例の保証を可能にしたものなので、モニエル瓦を塗装する際にはこちらを使用することをおすすめします。
高圧洗浄後、スラリー強化プライマーで下塗りを行い、しっかり乾燥させます。
2.スラリー層の確認(スラリー層強化の場合)
乾燥後、ガムテープで粘着テストを行って、スラリー層が強化されたか確認します。
3.中塗り・上塗り
カムテープにスラリー層がつかないようなら、スラリー層が強化されているので中塗り・上塗りを行い仕上げます。
このように、セメント瓦とモニエル瓦では塗装方法が異なるため、間違った塗装を行わないよう、セメント瓦とモニエル瓦をしっかり見分けることができる業者に塗装を依頼しましょう。
どんな瓦屋根でも必要なメンテナンス
粘土瓦は塗装する必要がなく、セメント瓦やモニエル瓦は塗装が必須、ということを記載してきましたが、どんな瓦屋根でも必要なメンテナンスがあります。
それは漆喰の補修です。
粘土瓦も、セメント瓦やモニエル瓦も、瓦を固定して支えているのは漆喰です。
漆喰は定期的なメンテナンスが必要です。
漆喰の耐用年数は10数年といわれているので、屋根塗装の際に点検してもらうと安心です。
最近では、漆喰を使用しない瓦の固定方法が普及してきています。
樹脂製テープで覆った補強木材で軽量の「ハイロール」というもので瓦を固定する方法です。
ハイロールを使用することで軽量化が可能になり、瓦のずれや崩れに対して強くなるため耐震性も大きく向上します。
耐用年数も漆喰より長くなるためおすすめです。
屋根瓦の塗装ポイントは2つ
セメント瓦やモニエル瓦の屋根瓦は塗装が必須ですが、屋根瓦を塗装する際のポイントが2つあります。
【屋根瓦の塗装ポイントは2つ】
☆屋根の劣化状況の見極め
☆屋根瓦の塗装の知識がある業者に依頼する
屋根材の劣化状況を見極めて、塗装するか葺き替えか、どのようなメンテナンスが最適か判断しましょう。
屋根材の割れや欠損が広い範囲に発生している場合、塗装してもあまり意味がないこともあります。
屋根の劣化状況に合ったメンテナンスを行うことが大切です。
また、セメント瓦とモニエル瓦は見分けが難しく、塗装方法も異なるため、屋根瓦の塗装の知識がしっかりある業者に塗装を依頼することが重要です。
今回は瓦の塗装について書かせてもらいました。 和風の粘土質の瓦も塗装は可能なんですが、あんまり行われる事はありません。
セメント瓦、モニエル瓦の塗装、塗り替えが瓦ではメインになっています。
ただ、一般的に神戸市近隣では、なんといってもスレート平瓦と言われるカラーベスト、コロニアル瓦などになると思います。
これらの塗装は可能ですが、重なり部分の縁切、タスペーサー除去などのひと手間が必要だったり、状態によって、どちらも必要ないというような場合もあります。
また、劣化が酷くなっている、すでに2回ほど塗装を行っているという場合は、金属製の屋根材をカバーするカバー工法や、再度 カラーベストなどを重ねるという事も必要だったりします。
どちらにしましても、キッチリと現在の状態の確認が必要になってきますので、屋根塗装をお考えの方はぜひとも、ご連絡お願いします。
当社は神戸市が運営する『すまいるネット』にも掲載させて頂いていますし、神戸新聞社の『マイベストプロ』にも掲載させて頂いています。 どちらも審査などがあるサイトになりますので、一般のポータルサイトなどとは違い安心してお問い合わせ頂けると思います。